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噂のレア本です。
横井軍平といえばゲーム&ウォッチ、ゲームボーイの製作者!
…の世代です。その前の玩具時代の横井作品はうろ覚えでしかわかりませんでした。
十字キーの開発者でもあります。
■諸注意

最初に発行。
一時期レア化して一万円越えてしまいました。


「横井軍平ゲーム館」の改訂復刻版。


同時期に発行された「横井軍平ゲーム館 RETURNS ─ゲームボーイを生んだ発想力」と重複箇所が多い。
どちらか一冊で大丈夫です。
今だと「ゲームの父横井軍平伝」が一番入手しやすいみたいですね。

※全部ほぼ重複してる内容が多いため1記事で取り扱います。

この書籍はインタビュー本に分類していいと思います(たぶん)
1つの玩具に1~3ページほど制作秘話が語られています。
任天堂の初期~ゲームボーイまでと言ってもいいかもしれませんが、ファミコンは横井氏は大きく関わっていないので掲載されていません(でも十字キーについてはのってます)

ドンキーコングは元はポパイだった。マリオ秘話

ドンキーコング(アーケード)は使われなくなった業務用の基板を再利用して作った。
社長命令でその基板を作ったゲームをパッケージデザイン部門の宮本茂氏と作ることに。
ポパイの版権がとれず、急遽キャラクターを変更。
ポパイ=マリオ
オリーブ=ピーチ姫
ブルート=ドンキーコング
の誕生。
開発時点ではマリオは「おっさん」と呼ばれていて、できあがったゲームを任天堂アメリカに送ったら姿がそっくりのマリオという人に似ていたので「マリオ」と呼ばれるようになった。

マリオを作ったのは…

「マリオブラザーズ」という、私の企画したゲームの製作を宮本くんにお願いしたんです。
(略)
後に彼がスーパーマリオを作って有名になったもんだから、ずーっと最初からマリオは彼の仕事になってしまったんですね。だからね、うちの社員なんかは知っていますから「なんで横井さん名乗り出ないの」(笑)って言うのですけれど、「あんなん名前だしたってしゃーないやろ」って言ってるんですよ。
私としては、自分の考えたゲームがお客さんに受け入れればそれで満足なんで、誰が作ったなんてことは、わかる人だけわかっていればいいことだと思うわけです。


当時の横井氏は特許も社員の名前でとらさせるようにしてたくらいだったようで(当然法務部から怒られた)とてもおおらか、かつ部下を大事にする方だったようです。
任天堂では若い人が素晴らしいアイディアを発言すると社長に直接発言できるようになってるみたいです。
途中で上司をはさむと上司が横取りしてしまう。そうすると部下の開発熱が下がってしまい悪循環になる。
この辺の環境づくりの苦労話も興味深いところ。


ゲーム&ウォッチ

開発のきっかけが「新幹線の中で退屈しのぎにサラリーマンが電卓で遊んでいたのを見かけたから」というのに驚き。
そのサラリーマンすごすぎるだろう…

ゲームボーイの白黒のワケ

ゲームボーイをどうして白黒にしたのかが書いてあります。
ACアダプタをつけてまでカラーにしなかった判断はお見事。
この商品は絶対どこかが真似してくるだろうな、真似するんだったらカラーにしてくるだろうと思いました。
案の定セガのゲームギアというハードが出ますが横井氏の思惑通り「電池がすぐなくなる」
まさに「枯れた技術の水平思考」ですなぁ。

十字キー

ファミコンの時に左側につけられた十字キーですが「仕方なく左側に付けたのであって本来は右側に付けたほうがいい」という理由が語られています。
これにはちょっとびっくりでした。まさか十字キー開発者が「右側に十字キーを置いたほうが上達が早いに決まってる」と言っていたとは…

「すごい商品」はユーザーには必要ない

この書籍で横井氏は電子レンジを「ものすごく無駄な商品」と罵ってますね(笑)
便利なものをあれもこれもと技術者はつっこみやすいから気をつけろというありがたいお話。
(玩具、娯楽製品は)技術に惚れ込んではいけないと何度も書かれてました。


任天堂とソニーの考え方が違っていてとても面白い書籍でした。


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